こんにちは!アパレル社員です。
今回は「ポリエステル繊維」について紹介します。
ポリエステルという言葉は多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか?
もし知らない人はクローゼットの中を覗いてみてください。
カジュアル衣料はもちろん、スポーツ用のTシャツなんかはほとんどがポリエステル繊維で作られています。
本記事ではポリエステルの特徴、メリット、デメリットを紹介します。
知っていると商品作り、商品選び、家庭での取り扱いに役立つこと間違いなしです。
紹介に入る前に本記事はこのような人におすすめです。
・将来アパレル業界への就職を考えている学生さん。
・アパレル業界への転職を考えている社会人さん。
・入社したてのアパレル業界の新人さん。
・繊維の知識を身に付け、商品選びに活かしたい人。
それではご覧ください。
ポリエステルとは
ポリエステルとは石油を原料とした化学繊維です。
化学繊維の中の合成繊維に分類されます。
ポリエステルには幾つか種類がありますが、繊維として糸になり生地として使われることが多いのはテレフタル酸とエチレングリコールを混合して作られたポリエチレンテレフタレート(PET)繊維です。
このポリエチレンテレフタレート(PET)はペットボトルの原料にも使用されています。
1942年にイギリスのキャリコプリンターズという会社がテレリンという名称で開発、特許を取得します。
その後1946年にアメリカのデュポンがダクロンという名称で特許を取得します。
現在化学繊維の中では消費量が一番多く、たくさんの衣料品に使用されています。
長繊維(フィラメント)として使用する場合と短繊維(スパン)として使用する場合があり、化学繊維のため製造段階でどちらかに設定して作られます。
日本でのポリエステル
日本では繊維メーカーと呼ばれる繊維を製造する企業がポリエステル繊維を製造しています。
東レ、旭化成、帝人フロンティア、ユニチカ、クラレなどのメーカー各社がそれぞれにオリジナルの名称を商標として取得しているのですが、東レと帝人フロンティアが製造する「テトロン」が有名です。
このテトロンは日本発のポリエステル繊維です。
1958年にキャリコプリンターズから東レと帝人フロンティアが技術導入し生産を始めました。
これを機に各社が生産と研究を進めていき、昨今は従来のポリエステルより機能性を持つハイテクなポリエステル繊維が日本でも開発され続けています。
ポリエステルのメリット
・洗濯耐久性が良く、丈夫である。
・縮みにくく、型崩れやシワが起きにくい。
・軽量である。
・熱に強い。
・速乾性が高い。
・カビ、湿気、虫食いに強い。
・生産量が多く比較的安価である。
ポリエステルのデメリット
・吸水性、通気性に劣る。
・毛玉、ピリングが起きやすい。
・静電気が起きやすい。
・火に弱い。
・天然繊維に比べ臭いが付くと消えにくい。
ポリエステルは変幻自在
ポリエステルは薬剤加工や糸の形状変化、使用する原料の変更により機能性を持たせることができます。
機能性を持たせる加工によってデメリットを解消することもできます。
・吸水性が悪い→吸水加工
・毛玉ができやすい→高ピル加工
・静電気が起きやすい→帯電防止加工
・臭いがとれにくい→抗菌防臭、消臭加工など
上記の高機能ポリエステルの加工は、加工剤を使用した後加工が多く、着用、洗濯を繰り返すとどうしても機能が低下していきます。
その薬剤加工とは別に繊維や糸状態の段階で一手間加え機能が半永久的に持続するものもあります。
有名なものに、
高いストレッチ性のある「帝人フロンティアの SOLOTEX(ソロテックス)」
吸水速乾性と通気性のある「インビスタの COOLMAX(クールマックス)」
などがあります。
ただしこれらは一般的なポリエステルや加工剤を使った後加工より高価になるものがほとんどです。
ポリエステルを使ったアイテム
耐久性が良く使い勝手がいいのと、生産量が多いのでシーズン、アイテムを問わず、Tシャツ、パンツ、ジャケット、コートなど幅広く使用されています。また速乾性が高いのでスポーツやアウトドア衣料にも多く使用されています。
さらに衣類だけではなくバッグや傘などの小物にも使用されています。
生産量が多く比較的安価な繊維のため製品にした際の値段も高くない傾向にあります。
アパレル社員的まとめ
ポリエステル繊維について紹介しましたが、これだけは覚えておくべきというポイントをまとめておきます。
・ポリエステルは石油を原料とした化学繊維である。
・化学繊維の中の合成繊維に分類される。
・日本でも繊維メーカーによって多く生産されている。
・化学繊維の中で生産量が一番多くたくさんの衣料品に使用されている。(比較的安価)
・耐久性が良くシワになりにくいので扱いやすく、虫やカビにも強いので保管も簡単である。
・吸水性が低く、毛玉ができやすいといったデメリットもあるが加工をすることで改善される。
・繊維、糸の段階から開発される高機能なポリエステルも存在する。