こんにちは!アパレル社員です。
今回は「化学繊維」について紹介します。
紹介に入る前に「繊維って何?」という人にはこちらの記事を読んでいただくことをお勧めします。
さて、今回紹介する「化学繊維」は人間が作り出したものであり、元々は自然界に存在しない人造繊維です。
そのため、天然繊維では出せない風合いや付加機能を持たすことができた優れた繊維が多いです。
本記事ではこの化学繊維を簡単に紹介します。
紹介に入る前に本記事はこのような人におすすめです。
・将来アパレル業界への就職を考えている学生さん。
・アパレル業界への転職を考えている社会人さん。
・入社したてのアパレル業界の新人さん。
・繊維の知識を身に付け、服選びに活かしたい人。
それではご覧ください。
目次
化学繊維
冒頭でも紹介した通り、人工的に製造された繊維を化学繊維といいます。
化学繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維に分類されます。
化学繊維が生まれた背景
化学繊維は石油などを原料として、天然繊維に似た風合いや特徴を人工的に、安価で尚且つ大量生産できるように19世紀頃から生産され始めました。
当初は高価で生産量の限られる天然繊維に代わる特徴を再現させるためだけでしたが、技術の発達とともに、天然繊維では出せないような機能性を実現させ、昨今では多くのハイテク素材が生まれています。
再生繊維
再生繊維とは天然繊維のセルロースを原料とし、一度溶かして再生した繊維です。
原料は天然繊維なので天然繊維と化学繊維の中間的な特性の繊維です。
再生繊維にはビスコース繊維のレーヨン、ポリノジックと銅アンモニア繊維のキュプラがあります。
ビスコース繊維の「レーヨン」と「ポリノジック」
ビスコース繊維にはレーヨンとポリノジックがあります。
レーヨンとポリノジックは木材などのパルプ(紙の原料)をビスコース法で繊維に再生したものです。
絹のような光沢感、高級感があり人絹とも呼ばれレディース衣料に多く使用されます。
レーヨン100%ではなく、ポリエステルなどと混ぜて使用されることが多いです。
ポリノジックはレーヨンより上質なパルプを使い、重合度をあまり低下させず強度を強めたものです。
銅アンモニア繊維の「キュプラ」
銅アンモニア繊維にはキュプラがあります。
キュプラとはコットンリンターと呼ばれる綿の製造段階で捨ててしまう短い繊維を、銅アンモニア法で繊維に再生したものです。
肌触りが良く、静電気が起こりにくいことからスーツの裏地などに多く使用されます。
半合成繊維
半合成繊維とは天然繊維のセルロースなどを化学反応させた繊維です。
再生繊維と合成繊維の中間的な特性の繊維です。
アセテートとトリアセテートがあります。
セルロース系の「アセテート」と「トリアセテート」
半合成繊維セルロース系にはアセテートとトリアセテートがあります。
アセテートはセルロース繊維に酢酸を化学結合して作られる繊維です。
光沢があり、柔らかいことから裏地やスカーフ、ネクタイといった小物に多く使用されます。
トリアセテートはアセテートより化学結合させる酢酸の量が多いです。
アセテートに比べ吸湿性が低く、耐熱性が高くなります。
合成繊維
合成繊維とは石油などを原料とし、科学的に合成された高分子化合物からできる繊維です。
ナイロン、ポリエステル、アクリルなどがあります。
ポリアミド系の「ナイロン」
合成繊維ポリアミド系にはナイロンがあります。
ナイロンは石油を原料とするポリアミドと呼ばれる合成樹脂から作られる繊維です。
ナイロンは軽量且つ、摩擦に強いのでスポーツやアウトドアのアウター、またはバッグなどにも使用されることが多いです。
ポリエステル系の「ポリエステル」
合成繊維ポリエステル系にはポリエステルがあります。
ポリエステルは石油を原料とするポリエチレンテレフタレートと呼ばれる物質から作られる繊維です。
ポリエチレンテレフタレートはPETとも呼ばれペットボトルとして有名です。
ポリエステルは化学繊維の中で生産量が一番多い素材です。
ポリエステルは軽量且つ、耐久性と速乾性に優れるので機能性インナーやスポーツ用のTシャツ、パンツからアウターまで季節、アイテムを問わず幅広く使用されます
ポリアクリロニトリル系の「アクリル」
合成繊維ポリアクリロニトリル系にはアクリルがあります。
アクリルは石油を原料とするアクリロニトリルと呼ばれる物質から作られる繊維です。
ウールに似た素材感のためカーディガンやセーター、フェイクファーとして多く使用されます。
ポリ塩化ビニル系の「ポリ塩化ビニル(PVC)」
合成繊維ポリ塩化ビニル系にはポリ塩化ビニル(PVC)があります。
ポリ塩化ビニルは塩化ビニルといわれる合成樹脂から作られる繊維です。
衣服として使用されることは殆どないですが、水を吸わず保温性に優れることから、合皮素材の表面コーティング、アウトドアウェアの裏コーティングなどに多く使用されます。
ポリウレタン系の「ポリウレタン(PU)」
合成繊維ポリウレタン系にはポリウレタン(PU)があります。
ポリウレタンはウレタンゴムといわれる合成樹脂から作られる繊維です。
ゴムのように伸びることから綿や他の素材に混ぜてストレッチパンツ、スキニーパンツ、コンプレッションインナーなどに多く使用されます。
アパレル社員的まとめ
化学繊維について紹介しましたが、特に覚えておくべきというポイントをまとめておきます。
・人工的に製造された繊維を化学繊維という。
・化学繊維は高価な天然繊維に似た風合い、特徴の繊維を安価に作りだすために生産された。
・化学繊維は再生繊維・半合成繊維・合成繊維・無機繊維に分類される。
・再生繊維にはレーヨン、ポリノジック、キュプラがある。
・半合成繊維にはアセテート、トリアセテートがある。
・合成繊維にはナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンがある。
・化学繊維は人造繊維のため天然繊維には無い機能性を持たせることができる。